死神は花を狂おしい程愛してる
「ん?なんかこの紅茶……」
「どうした?花楓」
「気のせいかな?なんか苦い……」
「じゃあ…砂糖入れる?」
優しい蒼士の問いかけに、
「うん、そうしようかな?」
と答えた、花楓。

「じ、じゃあ…花楓様、砂糖です」
「ありがとうございます」
砂糖を入れ、再度飲むと今度は落ち着いたらしく、
「美味しい…」
と微笑んだ。

ホッとする、羽山。
「お前…動揺しすぎ!
もっと普通にできねぇの?」
蒼士が耳打ちする。
「すみません……」
羽山は同じ女性として、胸が潰れそうだった。
自分の知らないところで、避妊薬を飲まされているなんて花楓が知ったら、どんなに傷つくだろう。
こんなに冷酷なことを、普通に犯す蒼士が信じられなかった。

「じゃあ…花楓、行ってくるね!
ちゃんとおとなしくしててね」
「うん…大丈夫だよ」
「ん。可愛い…」
軽く口唇にキスをして、出ていった。

「花楓様」
「え?羽山さん?」
「あの…大丈夫ですか?」
「え?」
「なんだか、苦しそうに見えたので……」
「大丈夫…ではないです……
でも、私は蒼士さんに囚われたんですよ。
そう思うようにしてます」
「ですよね…」
「大丈夫ですよ。
この屋敷の皆さんに、ご迷惑がかかることはしませんから」
「はい…」
羽山も悲しそうに、目を伏せた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
蒼士が事務所に着くと、蒼士の部屋のソファーに女性が座っていた。
「蒼士~!久しぶりぃ!
会いたかったぁ」
蒼士を見るなり、抱きついてくる。
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