死神は花を狂おしい程愛してる
「花楓、何食べる?」
「ん?蒼士さんが決めて」
「そうだな…和食でいい?」
「うん」

個室に二人で座る。
もちろん、並んで。
「お昼から、こんな高級なとこ…」
「だって、蒼士さんが決めてって言ったじゃん!
俺に決めさせたら、こうなるに決まってる」
豪華な料理をゆっくり食べる。
いつものように、しばらく花楓の食べているのを見つめ、蒼士も食べる。

「美味しい…」
「ここはよく、親父が利用するとこだから従業員達も、気をつかってくれるんだ。
だから、こんなこともできるよ……?」
蒼士の顔が近づき、口唇が重なる。

「……んん…」
「フフ…可愛い…」
「お吸い物の味だ…」
「うん…今、食ったから。花楓はなんか甘い…」
「デザート食べてたから」
個室の中の雰囲気も、甘くなってく。

~~~~~!
花楓のスマホの着信音が鳴る。
「あ…電話……」
「ダメ…俺に集中して…?」
「ンンン……」
再び重なる、口唇。

「蒼士!」
今度は、この個室の外から洋次の呼びかけがある。
「なんだよ…!?」
「んん……んぁ…」
花楓にキスをしながら、答える。
「花楓様の友人が屋敷に来てるって!」
「誰!?」
「桐野って人」
「え…里紗?」
「誰?その女」
花楓の顔を覗き込んで、言った。
「元同僚なの」
「へぇー、なんで急に?」
花楓の頬や瞼にチュッチュッと、キスをしながら言う蒼士。
「家の中じゃないと会えないって話したから。
ほら、外には蒼士さんと一緒じゃないと出れないでしょ?」
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