死神は花を狂おしい程愛してる
「私、この間のパーティーでお会いした、立花です」
「あ、すみません!気づかなくて……」
「いえ…お一人ですか?」
「蒼士さ…いえ、主人と来てます」
「蒼士様と!?」
「え?えぇ…」
一瞬、立花の目が光ったように見えた。

「じゃあ…私は……」
去ろうとすると、手を掴まれた。
「あ、あの!蒼士様にも挨拶したいんですが……」
「あ…はい、わかりました」
トイレを出ると、待ち焦がれてたように蒼士に抱きつかれる。

「花楓」
「あ、ちょっ…蒼士さん!」
「遅かったね。気分でも悪い?」
「ううん。立花さんに会って、ちょっと話してたの」
「は?誰?」

「お久しぶりです。蒼士様」
「…………」
花楓を腕の中に閉じ込めたまま、ジッと立花を見る蒼士。
「あの////蒼士様///?」
「立花って、確か…この間のパーティーに来てた?確か、不動産をいくつか持ってるって言ってた奴か!」
「はい、父が。
こんなとこでお会いできるなんて…嬉しい…」

「で?」
蒼士は冷めた目で見ている。
「え?あの…」
「見てわかんないの?お前」
「え……」
「今、デート中。
お前、邪魔…!用がないなら、消えて?」
「え?あ…すみません。では、また…」
心なしか、悲しそうに去っていった。

「蒼士さん、あんな言い方は……」
「あーまで言わないと、調子にのるだろ?」
「え…?」
「いつも言ってるでしょ?俺は、花楓しかいらない」
どこかで他に意識を向けてくれないか、考えていた花楓にとって、立花の存在は希望だった。
でも当の蒼士は、全くの無関心だった。
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