志岐さんと夏目くん


「まったく、馬鹿は気楽でいいねぇ……」

「小日向、気楽にやりすぎて失敗ばっかりしそう」

「あー絶対そうなるね。 で、失敗しても馬鹿みたいに笑って過ごしてくんだろうなぁ〜」

「ほーんと、馬鹿だよねぇ」

「うんうん、ほんっとに小日向は馬鹿だね、うん」



……なんだか、随分と言われてるなぁ。

でも小日向くんのことを話してる女子たちは緊張が解れてきたのか、みんな笑顔になってきた。

恐るべし、小日向くんパワー。



「おーい、メイド役のみんな集まってー。 開門前に生徒会の人が写真撮りたいってさー」



と、夏目くんが廊下から声をかけてきた。

それに伴い、衣装を着た十人が一斉に移動していく。


そんな彼らとは逆に、夏目くんは教室内に戻ってくる。

それからすぐに近くの男子たちに声をかけ、楽しそうに話し始めた。


結局 夏目くんは、誰と一緒に行動するのかな?

今一緒に喋ってる男子たち……は、ちょっと声をかけただけで、違うみたい。

そのあと近くにやって来た女子たち……も、どうやら一緒に写真を撮ろうと誘ってきただけらしい。


……って、私、夏目くんのことばっかり考えてるや。

しかも結構ジーッと見ちゃってたし。

そんなことをコッソリやってるなんて、我ながら気持ち悪い。


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