志岐さんと夏目くん


もう見るのはやめよう。

気を引き締めて、裏方の作業をやっていこう。

と、思ってたんだけど……、



「こっちは人数多いから大丈夫だよー!!」

「うんうん、それに志岐さんは飾り付けとか頑張ったんだから、のんびり遊んできていいよっ!!」

「私らも休憩時間に目一杯楽しむし、年に一回の行事なんだから楽しまなきゃ損だよっ!!」



……裏方の手伝いは、アッサリと断られてしまった。

確かに人数が多いから、手伝いは要らないかもしれない。

むしろ多くなりすぎたら邪魔になりそうだ。


それなら呼び込みの方の手伝いを……と思ったけど、どうやらメイド役が時間ごとに数名ずつ呼び込み班に加わるらしい。

その方がインパクトがあって宣伝になるから、と。

こちらも手は足りている。

ので、私は完全に暇になってしまった。


そして。

やることが見つからないまま、開門を知らせるアナウンスが校内に流れた。


ワァッと歓声が上がり、仕事のある人はそれぞれの持ち場へ。

フリーの人は、パンフレットを見ながら目的のお店へと駆けていく。

そして私は……あっという間に一人きりになった。


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