誰を?何を?見ているの?

☆☆佐久間家


夜、おじいちゃまから
実家に戻るように連絡があり
仕事が終わり次第帰宅した。

父も珍しく帰宅していた。

「お帰りなさい。彩葉。」
と、ママに迎えられて
「ただいま。」
「お父様も隼人も待っているわよ。」
「えっ、お父さんも?」
「それは、そうでしょう。
一人娘の一大事に。」
と、言うから笑いながら
リビングダイニングへと向かう。

佐久間の実家は
私の両親とおじいちゃまが
暮らしている。
後は、家政婦さんが三人が
通いでくる。
食事は、おじいちゃまも一緒だが

おじいちゃまは、宅地内に
別宅を持ちそちらで仕事と
就寝をする。
おじいちゃまの側近である
黒木(くろぎ)さんも
そちらで暮らしている。

黒木さんも奥さんを亡くしていて
おじいちゃまから離れる事はないだろう。
私の事も、小さい時から
とても可愛がってくれている。

リビングダイニングには、
おじいちゃま、お父さん、ママ
と、黒木さんがおじいちゃまの
後に立っていた。
中に入り
「ただいま帰りました。」
と、挨拶をすると
黒木さんから珈琲を入れて貰い
話を始めた。

父は、驚いていたが
ママから、まだ待てと言われている
ようだった。

おじいちゃまは、風間の忠臣様と
話した事を伝えてくれたから
「お父さん、ママ、勝手に
決めてごめんなさい。
式も挙げないから
ウェディングドレス姿も見せて
あげれない。」
と、言うと
「そんなことより
本当に、よいのか?
その男性で?」
と、言われて
「お見合いの時は、なんなのこの男
と、思ったわよ。
でも、きちんと詫びてくれたの
地面に頭をすり付けるように。
それに、会社や社員、社員の家族を
大切にしているのがわかるし
まして、お兄さんが一人いるのだけど
とても大事にしてるからなのか
彼が、もっと知りたくなったの。」
と、言った。

父・隼人も、母・百合も
そんな風に話す彩葉に
驚いていたが·····
「彩葉が、そう思うならかまわない。」
と、父が言い。
「病院は、辞めない。
いずれは、佐久間総合病院に
戻りたいと思っています。」
と、言うと
「早く戻ってこい。」
と、言ってくれた。
「うふふっ、ありがとう。
もう、ちょっとだけ待ってね。」
と、話した。

二、三日内に
両家の顔合わせをすることに。
両親への挨拶は、
父の仕事の関係で難しいから
両家があった時で。
と、なった。

彩葉は、食事をして
その日は、実家に泊まった。

彩葉が、居ないところで
勇三は、隼人と百合に
薫君を遥のお墓に入れた
と、話すと二人は驚いていた。

おじいちゃまと両親以外を
立ち入らせない彩葉が·····

「だから、許した。」
と、言う勇三に。
二人は、頷く。

だが、百合は
「お父様、お分かりかと思いますが
彩葉が傷つくような事があれば
風間を潰します。
宜しいですね。」
と、言うと
「無論。」
と、勇三も答えた。

勇三は、兄の話をした時の
彩葉に、違和感があったが
それは、口にしなかった。

百合に刺激を与えるのは
得策ではない。
百合は、何もできないお嬢様の
ようだが、パイプが広い。

海外に長く留学していたからか
フランス、イタリア、ドイツ、イギリス
スペイン、ロシア、中国と
経済を動かすような人達や
国を動かすような人達と繋がっている。

妻と似ている。
だから、わしの通訳や海外の
事業関係は百合を通す。

あまり、知られていない事じゃが。
< 17 / 85 >

この作品をシェア

pagetop