誰を?何を?見ているの?

☆☆すれ違う


とも子から
「何?どうしたの?」
「ん?帰らないって。
今日は、お兄さんとこに泊まるみたい。」
「ふぅん。今までなかったよね?」
「まぁね。」
「寂しそうだよ。彩葉。」
「う~ん。なんだろうね。」
「じゃさ、彩葉もうちに泊まる?」
「嫌よ。凪くるかも知れないし。」
「来ないよ。当直とか
言っていたから。」
「そうなの。でも良いわ。」
と、話して帰宅した。

まあ、彼、薫には
想っている人がいるのだからね。

なぜか、そう思った。

帰宅してお風呂に入り
ベッドに入る。

薫のいない空間は
寂しかった。

翌朝。
食べるかわからないし
そもそも帰ってくるかわからないけど
薫の分も朝食の準備を
用意をしてから
病院へ。

少し早いが、良いかと·····



帰宅すると
ダイニングテーブルには
俺の分の朝食がのっていた。
「彩葉!」
と、呼ぶが返事はない。

もう、行ったのか····と
残念に思う自分に驚く。

彩葉の作ってくれた朝食をたべる。
「上手い!」
やはり、美味しいなぁと思いながら
完食する。
《 おはよう。朝食ありがとう。
美味しかった。 》
と、LINEをするが····

中々、既読にはならずに
俺も準備して出社した。

兄貴は、何か言いたそうだが
何も言わなかった。


明後日には、また天音は海外に行く
次は、10日後に帰国する。
《 会いたい 》
と、天音からLINEが来て
兄貴のとこは無理だから
食事を一緒にすることにした。

《 ごめん。夕飯は要らない。 》
と、彩葉にLINEをすると
朝の返信が来ていた
《 おはよう。
食べるかわからなかったけど。
作って良かった。 》と。

今のは、仕事終わりに見るかな
と、思いながら携帯をしまう。

夜、天音と待ち合わせの場所に行き
食事をする。
楽しそうに、嬉しそうに
話しながら食べる天音に
こちらも笑顔になる

だが、彩葉は、今、一人で
食べているのだろうか?
今日の献立は、なんだったのかな?
と、考えていると
「薫ちゃん、薫ちゃんてば!!」
と、天音に言われて
「あっ、ごめん、ごめん。
美味しいね。」
と、誤魔化してから
食べ終えてから
天音が、まだ帰りたくないと
言うから、ブラブラと公園に向かう。

天音が手を繋いで来て
びっくりするが。
そのまま、握り返して歩く。

明日から気をつけて行くように話し
天音をタクシーで自宅前に送る。

寂しそうな天音の顔を見て
天音にキスをする。
「薫ちゃん、好き。」
と、言われて抱き締める。

タクシーに乗り帰宅した。

彩葉は、お風呂に入り
リビングに座っていた。
「ただいま。」
「お帰りなさい。」
と、言うとソファーから立ち上がり
自分の部屋へと入っていった。

あまり、俺といるときに
部屋に入らないのに
と、思いながら
風呂に入り寝室に行くが
彩葉は、いなかった。

彩葉の部屋にノックして
「まだ、寝ないの?」
「ああ、うん。」
「わかった。じゃ先に寝るね。」
と、言うと
「お休み。」と。
俺も
「お休み。」と、返した。


「遥、やはり無理だよね。
彼は、きっと想い人と会っていたんだ。
香水が····ね。
一年·····待たず····だね。」
と、遥の写真に向けて話す
彩葉の顔は悲しそうだった。

本人は···気づいて·····ない·····
< 28 / 85 >

この作品をシェア

pagetop