誰を?何を?見ているの?

☆☆怒り


「どうして?どうして勝手な事を
したんだよ!!
なぜ、彩葉に会ったんだ。」
「どうして、そんなに怒るの?!!!
薫ちゃんは、私が好きなんだよね!!
そうだよね·····

だけど····嫌だったんだもん。
あの人の元に帰る薫ちゃんが······
いやっ···だったんだ····もん·····」
と、泣いて叫ぶ天音に

苛立ちと怒りが沸くだけで
抱き締めて慰めたいとは
思えなかった。

それから······
天音が、
彩葉に言った言葉をきき
力が抜けてしまった。

タクシーに天音を乗せて
天音の家へと送り
兄貴の家に行く。

兄貴に今日の天音の話をすると。
頭を抱えて考えていた。

兄貴は、
「まずは、総帥に
全てを話す方が先だ。
直ぐに耳に入る。
薫、お前は、天音と生きて行くんだな?
それで、良いんだな?」
と、言われて
「わからないんだ。
自分がどうしたいのか?
天音に対して、ずっと好きだと言う
気持ちが一方通行ではなかった事に
執着しているだけなのか·····

彩葉とは、とても穏やかで
このまま、ずっと夫婦として
生きて行ける、そんな感覚で·····
ごめん、情けなくて。」
「いや、俺も天音が可愛いからと
無下に出来なくて、お前に話したのも
行けなかった。
俺はな、薫に幸せになって欲しい。
彩葉さんと結婚してから
穏やかな表情だったから
良かったと思っていたんだ。
俺の天音の気持ちは家族愛だ
恋人にしたいとか
キスやその先になることはない。
だが、お前はできるんだから
やはり、恋愛感情があるのだと
思うし·····
だが、彩葉さんは、
遅かれ早かれ、動くぞ。」
「ああ、わかっている。」

わかっているが······
どう動いてよいか
わからなかった。


哲は、弟の幸せを祈りながら
彩葉の心配していた。

最初から、彩葉の相手が
俺だったら····と悔やまれた。

職は失うだろう。
だが、俺も薫もまだ若い
また、一からやるしかない。

風間グループは、
実力主義だから
優秀な人が後を引き継いで
くれるだろう。

薫は、マンションへ帰宅したが
彩葉は、帰ってなかった。

彩葉に、LINEをするが
既読にもならず
返信も·····もちろんなかった。
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