誰を?何を?見ているの?

☆☆動く


翌朝、実家から病院へ向かう。

「何で、いんだよ。」
「あっ、凪、おはよう。」
「はよ。」
「風邪ひいて、お父さんに診て
もらったら、帰って、
また診るからと言われてね。」
「風邪?お前が?」
「何よ。」
「なんかあったのか?」
「別に。ただ、うたた寝したの。」
「ふぅ~ん。」
「興味ないよね。私に。」
「あるよ。」
「はいはい。」
久しぶりの凪との会話は楽しい。
ポンポンかえってくるし
好きかって言えるし。

凪は、父の病院へ。

私は、バスに乗り
北里大学病院へと向かう。

なんか久々だな。

携帯の振動で見ると、薫で
《 おはよう。体調はどう? 》
《 おはよう。大丈夫。 》
と、返して携帯を閉じる。

もう·····必要ない·····と。

病院につき、仕事を始める前に
とも子に
《 お昼一緒、どう? 》
《 いいね。 》
《 了解  》
と、返して診察室へ

午前は、外来
午後は、病棟

お昼に少し入り込んだが·····
とも子とランチ

朝、凪と一緒だった事や
風邪をひいた事
なぜ、風邪をひいたのかと

香水が臭くて気持ちわるいと
薫に言った事を。

「はぁっ····」
「なによ?」
「どうして、まとめていうの?
私は、あなたのなに?
ただの知り合いなの?
親友と思っているのは、
私だけ?」
と、言われて
「ごめん。心配かけたくなくて
それに、私が決めた事だったからさ。
とも子は、私の唯一無二の親友だよ。
だけど、ごめん。」
「ば~か。私だって
彩葉は、唯一無二なんだからね。
で、どうするの。」
「うん。そろそろ動くよ。」
と、言うと
「まずは、真相聞いた方が良いよ。」
「うん、わかった。
会えたらね。中々帰って来ないから。」
と、言う彩葉の顔は
寂しそうで、悲しそうだったが
とも子は、あえて言わなかった。

仕事が終わり病院を出ると
「あの?小児科医の佐久間先生ですか?」
と、訊ねられて
振り向くと
フワフワした、可愛い女の子?人?
が、立っていた。
「はい。佐久間ですが。
失礼ですが、あなたは?」
と、言うと
「私は、永倉 天音と言います。」
「永倉さん?患者さん関係の方?」
「いいえ。私は風間 薫の幼馴染みで、
薫ちゃんの恋人です。
薫ちゃんは、ずっと私が好きで
私も薫ちゃんが好きでした。
だけど、薫ちゃんが私と哲ちゃんの
仲を勘違いして、あなたと結婚
してしまったのです。
薫ちゃんは、信じて待って欲しいと
いいましたが。
あなたのいる家に帰る
薫ちゃんを思うと息がつまるんです。
お願いします。
薫ちゃんを私に返して下さい。」
と、言うと頭を下げる。

「そう。あなたが。
あなたのお話は、わかりました。
だけど、薫が待てと
言ったのなら、待てば良かったのでは?
今後の事は、薫と話してみます。」
「だって、薫ちゃん
会っていても直ぐに帰るし
キスしかしてくれないし。」
と、ぐずぐず泣く彼女に。

回りは、チラチラ見てくるし。

私は、中庭に彼女を連れて行き
薫に
《 直ぐに、病院の中庭に来て 》
と、LINEをした。

少しすると、走ってくる薫が見えた。
「彩葉。」
と、言う薫を無視して
「あなた、薫と帰りなさい。」
と、彼女・天音さんに言って
その場を立ち去る。

薫が、「彩葉!待って。」
と、言っていたが、
私は振り向く事はしなかった。
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