誰を?何を?見ているの?

☆☆大変な事②


本当に大変な事になった。

彩葉の幼馴染みが言ったのは
この事だったんだ。

風間グループは····失くなった。

だが、他の風間グループの会社は、
経営者が変わり社名が変わった
だけですんだ·····

取り敢えず
社長室、副社長室を片付け
幹部に話をする。

「不満な物は退職して構わない。」
と、新しい経営者が言っている事を伝え、
「良く考えて欲しい。
名前が変わっても会社を守って欲しい。」
と、お願いをして二人で会社を後にした。

兄貴と二人·····

実家に帰り、両親に謝罪をした。

今後をどうするか
考えていたら·····

「どういう事なの!!?」
と、天音が飛びこんできた。

俺も兄貴も
今、天音の相手をしている暇も
顔を見るのも嫌悪がわく

だが·····

「イギリス、フランス、イタリアや
ドイツ、中国からピアノの演奏を
外されたの。
来月のオーケストラの演奏も
私でないピアニストが決まって。
マネージャーが調べると
佐久間グループが動いているのでは?
と、言われて。
哲ちゃんや薫ちゃんなら
佐久間グループって知ってるかと
思って。」
と、泣きながら言う。

天音にも····か······

兄貴と二人で
永倉の両親と天音に
全てを話した。

「えっ?あの人····
佐久間グループの総帥の孫?······」

薫は、一年で離婚を言われていた
話もした。

天音は、だから····かと······

「····だけどっ·····そこまで·····
する必要····あるの·····?·····」
と、言う天音に

経緯も全てを話した。

総帥同士の約束なんだと
中途半端な事をすれば
即経営に響く

彩葉の母親は
この話が持ち上がった時に
そうすることを打ち出していた。

だから、一時の憤りや気の迷いで
やったわけではない、ことも。

天音が、わなわなと
その場に座りこむ

ずっと黙っていた
天音の父、信一さんが····
「5、6年前、海外の資産家や企業が
落ち着かない事があった。
私のいる会社には、直接影響は
なかったけど、海外の支店に
影響があったんだ。
暫くすると何事もなかったように
落ち着いて、いったいなにが?
と、なったが、
詳しい内容が耳に入ることは
なかったんだ。
その女性が絡んでいたんだ。」
と、話してくれて
俺達は、知らなかったから
驚いた。

それから、信一さんは、
謝ってすむことではないがと
天音の軽率な行動や言動を
詫びてくれた。

だが、俺も兄貴も
悪かったのだから
誰も責められない。

だけど····俺は
「今更ですが、完全に彩葉を
失い····やっと···わかりました。
俺は、彩葉と共に生きて行きたかった。
天音の事は、小さい頃から
可愛くて、可愛くてたまらなかった。
だけど、たとえ兄貴との事を
誤解していても、自ら気持ちを
伝えなかったと言うことは
自分でなくても、天音は幸せになる
と、思っていたからだと。
わかりました。
本当に、沢山の人を巻き込んで
大切に思っていた女性を
傷つけて、愚かな人間です。」
と、頭を下げる。

兄は、
「家は売却して弟といちから
やり直しをします。
たとえ、兄弟で進む道が違っても
やり直し、立て直します。
永倉さんには、両親を亡くしてからも
本当に良くして頂きました。
ありがとうございました。」
と、頭を下げたので、
薫も再度頭を下げる。

弥生さんは、
「正直、庶民の私には理解できない
事が多くてついて行けないのだけど
天音の軽率な行動や言動が
引き金になっていることは
良くわかった。
同じ母親として彩葉さんの
お母様の気持ちが、少しはわかるの
彩葉さんが前回、どのような状況
だったのかは想像しかないけど。
今、お母様は?」
と、言われて
「皆に呼び掛けてから
倒れて入院されているそうです。
ご主人が、付きっきりだそうです。」
と、兄が答えた。

天音は、半ば方針状態のままだった。

俺達は、自宅に戻り
兄貴の友人の弁護士に
連絡をいれたり、
バタバタと対応におわれていた。
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