誰を?何を?見ているの?

☆☆大切な人達へ


院長である父
大好きな母
大切な、とも子
大事な、凪
そして、大好きで大切な祖父に
報告をした。

前回、
どれだけの心配を····
どれだけの迷惑を····
かけたかわからない五人に
きちんと伝えたかった。

もちろん、黒木さんにも·····

LINEとか
電話でも良いが
顔を見てから報告したかった。

全てを知っていた五人だが
おじいちゃまだけは
薫自身をあれから見ていないので
少し抵抗があったように見えた。

だが、そこへ薫が現れて
「薫?どうして?」
「彩葉が、自分の口からきちんと
お祖父様に伝えたいと言う事は
わかっていたから
時間をずらして院長と百合さんに
お願いしていたんだ。」
と、言ってから
「改めまして、ご無沙汰致しております。
前回の事では、ご迷惑やご心配を
おかけしました。
このような謝罪で済むとは
思っておりません
ですが、二度と間違いません、
もう、一時も離れていたくありません。
佐久間総帥のお孫さんである
彩葉さんを頂けるような
器ではないかも知れませんが
どうか、もう一度、もう一度だけ
私に彩葉さんを託して
頂けないでしょうか?
彩葉さんとの未来に繋がる
それだけのために
医療の勉強をしてきた
浅はかな人間ですが
例え、彩葉と一緒に歩けなくても
自分がやっている先には
彩葉さんに繋がる
そして、直接患者さんを助ける
事ができなくても
少しでも、ほんの少しでも
患者さんや患者さんを支える家族の
皆さんのお役に立てればとの
思いで、あの日から
生きてきました。
ご不満もあると思いますが
絶対に泣かせる事は致しません。
遥さんを想う彩葉さん事
愛しぬいて行きます。
宜しくお願い致します。」
と、頭を下げる薫に
「おじいちゃま、私達の事で
多くの人達に迷惑や心配を
かけたことは、重々に
わかってるの。
だけど、それでも薫と
一緒に生きて行きたいと
思っています。」
と、私も頭を下げる。

どのくらい、二人で頭を下げて
いただろうか?

「総帥、いつまでも
意地悪されていると彩葉様に
嫌われますよ。」
と、笑いながら言う黒木さんに
「ばっ、バカモン。
意地悪なんぞ、しとらん。
わしを子供みたいに言うな。」
と、慌てたように言うおじいちゃま。
「風間君、彩葉、顔をあげなさい。」
と、言われて
薫と顔をあげると
おじいちゃまは、
「前回の事は、忘れよう。
あれは、わしと忠臣が
勝手に決めた事だ。
そして、皆を巻き込んでしまった。
その代償は、大きなものだったかも
しれない。
だが、今のお前達は、自分達で
出会い、二人の道を決めたのだ。
薫君、君の働きぶりは報告を
受け取るよ。
建築に未練がないわけでは
なかったであろう
だが、君は、彩葉との未来を
考えてくれた。
わしは、何も言う事はない。
彩葉がいつも笑っていられるように
頼む。」
と、頭を下げるおじいちゃまに
薫は、
「ありがとうございます。
彩葉と温かく、笑顔のたえない
家庭を作って行きたいと
思っています。」
と、言いながら私を見るから
うん、うん、と何度も頷き
改めて、薫と生きて行こうと心に誓う

それからは、
おじいちゃまと黒木さん
薫と私で、お茶をしながら
いろんな話をした。
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