誰を?何を?見ているの?
18項

☆☆温かく


薫と彩葉の事は
院内に少しずつ広がり
スタッフの人達は皆
温かな目で見守ってくれていた。

川埜あすかさんは、
薫に告白をしてきた。

ダメだとわかっていても
きちんと振られて
前に進みたかった·····と。

薫は、彼女のそんな気持ちは
迷惑でしかないと言っていたが
事務長からも
しっかり、ふってやって欲しい
と、頼まれたと。

彩葉は、自分に自信があるわけでは
ないが、薫に気持ちが残られるのも
嫌だと思う気持ちがあることを
薫に伝えると
薫は、私を抱き締めて
「俺の中には、彩葉だけ。
他の人が入る隙間はない。」
と、言ってくれた。
「うふっ、わかった。
大丈夫、薫を信じてる。」
と、伝えると
嬉しそうな顔をして
私は、そのまま寝室に連れていかれて
薫の思うように抱かれた。

もぅ、薫の体力には
驚かされる。
腰をさすりながら
朝食を作る私に
「ごめんね。」
と、頬をかきながら言う薫に
「しばらく、お預けで。」
と、言うと
ええっ····と、頭をがっくり下げていた。
そんな薫を笑いながら、
二人で食事をした。

私達は、
私の宿直や急患以外は
どちらかと言うより
私の部屋へと帰るように
なっていて
日に日に、
私の部屋には、薫の物が増えていた。

休日には、薫の部屋の掃除に
二人で行ったり
ショッピングしたり
ドライブしたり
部屋でゆっくり過ごしたり
本当に恋人同士みたいに過ごし

遥のお墓参りにも行き
薫は、遥に私達の交際
結婚の報告をして
二度と間違わない。
と、話していた。

遥·····
あなたの事は、決して忘れない。
忘れられるわけない。
私の大切で大事な遥····
だけどね。
そんな私をまるごと愛してくれる
薫と一緒に生きて行くね。
と、話す私に温かな風が
私を包んだ。

あ·····遥····だ······

そんな私をそっと抱き締めてくれる
薫を私も抱き締め返し
「遥が、幸せになれって」
と、言うと
うんうん、と、薫が頷いてくれた。
二人で幸せを感じていた。

私の両親やおじいちゃま
凪ととも子夫婦とも
一緒に食事をしたり
花火やクリスマスを過ごした。

薫のお兄さんである哲さんとも
電話で話したり
食事に来てくれたり
少しずつ、皆とも
楽しく過ごせるようになっていた。

風間のお祖父様には、
まだ、会えていないが
阿川さんとは連絡をとり
お祖父様の様子をきかせて
もらっていた。

あの再会、告白から
一年を過ぎた時に
薫からプロポーズをされ
私は、快諾をした。
私の指には婚約指輪が入り
両家の挨拶となった。
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