誰を?何を?見ているの?

☆☆許可


風間のお祖父様は、
少しお痩せになっていたが
優しい笑顔で私達を迎えてくれた。

薫は、お祖父様に会うなり
言葉を無くし涙が溢れていた。

私は、薫の背中をさすり
ハンカチを渡す。

そんな姿にもお祖父様は、
優しい顔をされ
「薫、元気にしておったか?」
と、声をかけた。
薫は、
「················ハイ····」
「そうか、そうか。」
と、お祖父様。
涙の止まらない薫に代わり
「お祖父様。
私達のせいでただならぬ
ご苦労をされた事と思います。
申し訳ございません。
言葉で済むことではないと
重々にわかっているつもりですが。
私達は、それを踏まえてでも
二人で生きて行こう、いや、
生きて行きたいと思いました。
どうか、私達の結婚を認めて
頂けませんか?」
と、私は頭を下げた。

お祖父様は、薫を見ていたが
「彩葉ちゃん、ありがとう。
薫を見つけ、薫を受け入れてくれて
薫、彩葉ちゃんと幸せになれ
そして、今度こそ
家族をつくりなさい。」
と、言ってくれたから
「ありがとうございます。」
と、言う私に
「·····お祖父····様··
申し訳ありません。
結婚を認めて頂きまして
ありがとうございます。
私は、私が仕出かした事は、
一生忘れることなく
生きて行きます。」
と、頭を下げる薫に
「もう良い。
お前も十分に傷ついた。
わしは、もう忘れたわ
年かのう。
だから、早く孫をみせてくれ。
わしの瞳が黒いうちにな。」
と、優しい顔で言ってくれた。

薫は、涙を流しながら
何度も頷いていた。

おじいちゃまから
風間のお祖父様には
連絡が入っていたらしく
お祖父様は、私達が再会してから
全てを知っていたと。

私達は、皆の優しさ
皆の思いやりを忘れずに
生きて行こうと話し合った。
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