誰を?何を?見ているの?

☆☆動揺


意識しないように
神経を集中しているために
疲れてしまって
帰宅してもお風呂に入り
眠る日々。

薫が心配そうに見ていることさえ
気づいていなかった。

1日····2日·····と過ぎて行く中

遥ではないのに
まるで、遥がいて
遥の夢で願いだった小児科の医師を
遥がやっているように
思えてならない

高ぶる気持ちで
涙が溢れる。

青山君は、病棟から外来にも入る。
腕も良いし患者さんにも優しいから
人気者だ。

佐久間先生、佐久間先生と
私を慕ってくれて
お昼を一緒に食べたり
休日に誘われることも。

凪からは、何度も注意を受ける。

だが·····わかっていても

青山君から目が離せなかった。

とも子からも
「薫さんの気持ちも考えな。」
と、叱られた。

薫は····と···いうと·····

「俺は、彩葉を信じてる。
だけど、彩葉が青山君と生きて行きたい
のなら、そうしたら良い。
だが、今の彩葉と一緒に
いると、彩葉を責めてしまうから」
と、言って自分の部屋へと
帰って行った。

薫にあんな顔をさせたいわけではない
だけど·····青山君から目が離せない。

遥····じゃない·····のに·····

凪からは、呆れられ·····
とも子からは、嘆かれ·····

今日は結婚式の打ち合わせで
そちらへ向かう

今までは、薫と一緒に来ていたが
別々となり
「佐久間様、本日は?」
と、担当スタッフの方が
不思議そうな顔で
「えっ、今日は、打ち合わせでは
なかったですか?」
「えっ、申し訳ございません。
風間様より、延期のご連絡を
頂いております。」
「えっ、薫から?」
「はい。昨日。
大変申し訳ありませんと。」
「すみません。勤務で薫と
話せてなかったもので。
本当に申し訳ありません。」
「いいえ。お二人のお幸せを
願っております。」
「······ありがとう···ございます」
と、頭を下げてから式場をでる。

薫に連絡しようと思ったが
全てが自分のせいである。
薫と生きて行こうと
あんなに思っていたのに。

携帯を見ると
LINEが来ていた。
《 勝手だけど
式場に延期の連絡を入れた。 》
と、来ていた。
《 ごめん。 》
と、だけ返した。

私は、いったいどうしたいの
だろうか?
遥ではないのに
彼を選ぶの?
薫ではなく、彼と生きて行くの?
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