誰を?何を?見ているの?

☆☆俺では、無理?


青山君は、そんな薫を見ながら

「佐久間先生、いや
彩葉さん、俺ではダメですか?
兄さんに似ているだけで
しり込みするような人など
あなたを幸せにできるとは
思えない。
それに彼は医師でもない
俺は、医師です。
兄さんの、遥の代わりにもなれます。
きっと、あなたから
遥より、兄さんより
好きになってもらえるように
なってみせますから。」
と、私と薫に向かって
伝える青山君に。

薫は、青山君に対して口を
開こうとしたが····
私が、薫と繋いだ手をギュッと
すると、薫は私を見て
少し体をずらしてくれた。

「青山君。
ごめんなさい。
私の態度があなたに
誤解を招いたのなら
本当に申し訳ありません。

薫はね。しり込みしたんじゃないの
薫は、遥を好きな私事
愛してくれたの。
遥を忘れなくて良いと。
私が遥をどんなに大事にしていたか
どんなに愛していたか
わかっていたから
そう言ってくれたの。

だけどね。だけど·····
私は、あんなに大事だった遥より
薫と一緒にいると
穏やかで、癒されて
薫といる空間がとても大切だと
わかったの。
あなたの出現で、確かに動揺した。
だって、遥が、遥が
ずっと、願っていたのは
小児科の医師だったから。
遥の夢だったから。

まるで、遥がいるみたいだった。
どんなに、遥が医師になりたかったか
どれだけの勉強を頑張っていたか
ずっと、ずっと、見てきたから
1日でも、半日でも
それを····叶えて····あげたかったから···

でも、それで、大事な大好き薫を
傷つけて良いわけではないよね。
薫の優しさに自惚れて良い訳ないよね。

青山君、私と薫はね
一度離婚してるの。
その時の結婚はお互いの祖父の
願いが大きかったけどね。
今回は、違うの
ううん、違う、別れた事を
どれだけ後悔したことか
わからないの
だから、薫が医療事務の資格を取り
私に会いに来てくれた時
私の心は嬉しさにふるえた。

私の為に、私との未来の為に
大好き建築より医療を選んでくれたの
患者さんを助ける事はできなくても
自分の行う仕事の先に
患者さんや患者さんの家族の
役に少しでも立つならと。

私は、私の為に
私達の未来の為に頑張ってくれた
薫と共に生きて行きたいの

もう、絶対に間違えない
この手を離さない。
薫を愛してるの。

だから、本当にごめんなさい。

でも、遥との時間を
味会わせてくれてありがとう。」
と、言った。
「彩葉が、君との未来を望むなら
彩葉が、毎日笑って過ごせるなら
それを最後まで、見届けようと
自分の気持ちより彩葉が大事だから。
でも、俺も簡単な気持ちじゃないんだ。
沢山の人達に迷惑や心配をかけて
やっと、彩葉にたどり着けたんだ。
君には、辛い思いをさせて
申し訳ない
だが、遥さんの事は、決して忘れない。
彩葉の事も、全力で護り幸せにすると
誓う。」
と、薫が言うと
「元夫婦だなんて、知らなかった。
彩葉さんは、兄だけと思っていたから
俺の容姿なら行けると
思っていたんだけどな。
嘘です。
佐久間先生に兄以外に
想う人がいるのは知りませんでしたが
俺でいけるなんて
思っていません。
風間さん、嫌な思いをさせてしまい
申し訳ありませんでした。
俺、彩葉さんの幸せを願っています。
ただ、しばらくは好きでいさせて
下さい。」
と、言って頭を下げていた。

薫は、えっと言う顔をしたが
「絶対に譲らないけどね。」
と、言うと青山君は苦笑いをして
「お大事に。」
と、言って病室を出て行った。
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