誰を?何を?見ているの?

☆☆共に生きる


一週間の入院後
彩葉は退院をした。

明日から勤務に入るらしい。
様子をみながら。

彩葉を彩葉のマンションに送り
ベッドに横になるように話すが
身体がなまるからと
ソファーに腰かけるから
ブランケットを取りに行き
彩葉の膝の上におき
彩葉の横に座る。

彩葉が俺を見て
何か言いかけるが
俺は、彩葉の唇に手をあて
「彩葉、式はこのまま行うよ。
ドレスとかは、決まっていたから
それで。
延期の話しは身内にしか
話してないから問題ないと
院長も百合さんも
それで良いと、言ってくれた。
だけど······
もう一度だけ訊く
彩葉は·····
誰を見ている?」
と、言うと
「薫、沢山心配をかけて
嫌な思いをさせて
ごめんなさい。
許される事ではないと思う。
逆の立場だったら、とも思うけど
私は、薫と生きて行きたい

私は·····

私は、薫だけを見ている。」
と、薫の顔を見て伝えると
「ありがとう、彩葉。
俺の存在が彩葉の邪魔をしている
のではないかと·····
だけど、簡単にも引けなくて
だが、それは、俺の気持ちで
彩葉の思いとは違うのではないかと。

あっ、天音に叩かれたんだって
大丈夫だった?
ごめんな。」
と、頬に手をあてると
彩葉は、首を振りながら
「大丈夫。
天音さんが来てくれたから
天音さんが、言ってくれたから
目が覚めた。
彼は、遥じゃない。
最初から遥であるはずないのに。」
「それだけ、彩葉の中で
遥さんの医師になりたい
希望を、夢を実現させてあげたい
気持ちが大きかったんだよ。
あの日、兄貴から誘われて
兄貴の家にご飯を食べに行ったら
天音がいて。
だけど、天音は、彩葉にあったことも
結婚式の事も何も言わなかった。
天音を兄貴と二人で送って
兄貴とぶらぶら歩いて帰ったんだ
小さい頃に戻ったみたいに
久しぶりにあんな気持ちに
なった。
これも、彩葉のおかげだな。
彩葉は、ずっと俺を待っていて
くれたんだろ?
ごめんな。」
と、言うと
「そう。哲さんと。
哲さんにも心配かけちゃったね。
天音さんにも、お礼言わないと。」
と、言う彩葉を抱き締めて
「前回も今回も俺のせいで
風邪ひかせて、ごめん。」
と、言うと
「ちっ、違う。
私が勝手に待っていて
疲れて寝ちゃっただけ。」
と、言うと彩葉を抱き締めて
「ごめん、彩葉。
離れていかないで。
ずっと、俺のそばにいて。
必ず、絶対に幸せにするから。
嫌、違う。
俺が、彩葉がいないと
幸せになれない。」
と、彩葉の首に顔を置いて
伝えるて
彩葉は、クスクス···笑いながら
「離れない。
ずっと、薫といる。
私も薫がいないと
寂しいし、癒されないし
それに、薫を愛してるから。」
と、伝えると
「ごめん、彩葉。
病み上がりだけど。」
と、抱きあげられた。
「きゃっ」
「落とさないよ。」
と、おでこにキスされながら
寝室に運ばれ
薫に抱かれた。

「·····かお··るっ····もぅ····っ··むり」
「あやはっ··あはや···あいっ···してる····」
彩葉の中の奥深くに入り果て
彩葉を抱き締める。

少しして、彩葉を抱き上げて
シャワーを浴び、身体を拭いて
シーツをかえてから
彩葉を寝かせた。
彩葉には、俺のTシャツをきせて
彩葉を抱き締めて寝る。

やっと、本当に、やっと
二人で生きて行ける。
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