彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
「よし、よし」
「千柳、俺に触んな!」
俺は顔を上げ
ウザいハエを追い払うかのように、
千柳の手をはねのける。
「本当は、
もっとナデナデして欲しいくせに」
「なんだよ、それ!
んなわけ、ねぇだろ?」
「もしかして氷牙は、
俺に抱きしめて欲しいの?」
平安貴族並みの、ユルふわ口調で
にんまり笑顔の千柳に
「早く、か・え・れ!!」
ギチギチと
睨みの矢を突き刺したけれど。
「僕は優しいから、
弱った魔王様を介抱しないなんて、
無理なんだよねぇ~」
ファンを悩殺する
ハチミツボイスが返ってきたから
――千柳に威嚇吠えしても
御曹司スマイルで
スルーされるだけだったわ。
諦めモード突入で
俺は弱々しく、声色を薄めた。