君に捧げる一途な愛

「美味そうだな」

「も、もうすぐ出来るので座っていてください」

間近で政宗さんの吐息を感じ心臓がバクバクする。

「わかった」

わかったと言ったくせに、私から離れる気配がない。
それどころか、甘えるように私の首筋に顔を埋めてきた。

「んっ、」

思わず変な声が出た。

「腹へったなー、先に志乃を食べていい?」

「い、いいわけないですっ!私は食べ物じゃないし、ご飯が先ですっ」

政宗さんのとんでもない発言に焦り、腕の中から抜け出そうとする。

付き合いだしてわかったことだけど、政宗さんはこんな風に甘えてくる。
普段、大人な雰囲気を醸し出してるのに、たまに甘えたになるなんて反則だ。
このギャップに私はもうノックアウト寸前。

部署が違うからあまり会えないのは残念だけど、甘い政宗さんの姿を知ってしまった今はそれがありがたいと思ってしまう。
ドキドキしすぎて仕事にならない気がする。
社会人としてそれはどうかと思うけど。

「じゃあ、これで我慢しとく」

私の頬にチュッとリップ音を鳴らしてキスをして離れていく。
はい、ノックアウト!
私の心臓がいくらあっても足りない。

そんな私をよそに、政宗さんはリビングのソファに座ってテレビのリモコンに手を伸ばしていた。

布巾で拭いたテーブルに鍋敷きを置き、ご飯の準備をする。
私の家には卓上コンロがないので、グツグツと温めたキムチ鍋をキッチンから運んで、鍋敷きの上に置いた。

取り皿や箸をテーブルに並べようとしたら、政宗さんが「貸して」と言って手伝ってくれた。

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