君に捧げる一途な愛

おまけ お互いの彼氏


仕事終わり、梨音ちゃんと『ダークムーン』に来ていた。

店内には私たちの他にサラリーマンの二人組が端に座ってお酒を飲んでいる。

いつか食事に行きたいねと話していて、ようやく実現した。
さっき、明太クリームパスタを食べて今はシャンディーガフを飲んでいるところだ。

そもそも、どうして場所が『ダークムーン』になったかというと、梨音ちゃんが静かで落ち着いた店を知ってると言って連れてきてくれたのがここだった。

そして、驚いたことにバーのマスターが梨音ちゃんのイトコということだ。

こういう形で『ダークムーン』に来ることになるとは思わず、朔斗さんを見た瞬間謝罪した。

「その節はお恥ずかしい姿をお見せしてすみません」と。

由香と一緒に来たときに、調子に乗ってお酒を飲み過ぎて、ちょうど居合わせた政宗さんに介抱してもらうことになったんだ。
でも、その時のことがなかったら私と政宗さんは付き合ってなかったかも知れない。

いろんな偶然が重なって付き合えることになったんだなと改めて思う。

「梨音、そろそろ迎えが来るぞ」

「え?」

朔斗さんの言葉に梨音ちゃんは首をかしげた。
お洒落なアンティーク調の壁掛け時計に視線を向けると二十一時半になっている。

「もうすぐ着くって翔真から連絡があった。お前、スマホ見てないだろ」

「うん」

「梨音に連絡がつかないから俺の方に言ってきたぞ」

「ごめん。気づいていなかった」

梨音ちゃんは慌てた様子でバッグの中からスマホを取り出した。
そういえば、と私もバッグの中からスマホを出してみると政宗さんからメッセージが来ていた。
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