祈りの空に 〜風の貴公子と黒白の魔法書
 ──ディアナム王子って、例の魔女の子どもか?
 ──ああ、そうだ。王妃にお仕えてしいた魔女の息子だ。魔女は、王妃がエディア様を出産されて亡くなったあと、王をお慰めして、弟御子のディアナムを産んだ。
 ──昨年、先王が亡くなったとき、その魔女は自分の息子を王位につけようと企んで、エディア様に呪いをかけたという話だが。
 ──そうよ。でも、王家に仕える大魔法使いのマクリーン様が、それに気づいて、代わりに術を受けて亡くなったの。返しを受けて魔女も死んだの。
 ──大臣たちは残されたディアナム王子を処刑すべきだと主張したそうなんだけど。
 ──姫王様が、王子を庇われたんですって。
 ──なのに王子は『黒白の書』を盗んで王宮から逃げたのか。
 ──そうなのか? ディアナム王子が『黒白の書』を盗んだのか?
 ──封印されていた魔法書と、謀反を起こした魔女が産んだ王子が、同時に消えた。他に何がある?
 ──ディアナム王子! 姫王様に命を助けていただいたのに、なんて恩知らずなんだろう!
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