モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。
「どういうこと?なんで水牧くんとパパがっ」
案内された洗面所でしぶしぶ手を洗っていると、
俺のうしろに立つ美乃里ちゃんが、腕を組みながら鏡越しで俺を睨みつける。
やっぱり、可愛くねぇ。
その目、泣かせたくなる。
さっき、パジャマ姿見てちょっとムラッとしたのが悔しい。
本当にあの温厚な剛さんの娘なのかよ。
「俺も今初めて知ったから。正直驚きすぎてちょっと。……ずっと、剛さんの店に通ってて……」
今日あったことをザッと軽く説明すると、美乃里ちゃんがため息をひとつついた。
「……あそう」
「ん。……あ、卵焼き」
「え?」
変なタイミングであることを思い出して声が出た。
「美乃里ちゃんの弁当に入ってた卵焼き、剛さんの作るのに似てるなって思ったんだよ」
剛さんの卵焼きはスタンダードなものとは少し違って、卵といっしょに海苔が中で巻かれている。
この間見た彼女の弁当にそれが入っていたから、不思議に思ってたんだ。
今やっと納得した。