猫かぶりなカップル
「顔あけえぞ~」

「うるさい…」

「帰るか」

「うん…」



ご機嫌そうな奏と手を繋いで、あたしは若干うつむきがちに帰路を歩く。



う~、なんか照れっぱなしだ…。



奏のバカ…。



奏とのキスは、まるでウブみたいなあたしを引き出す。



あたしはまるで、まだ何も知らないまっさらな少女みたいになる。





奏がわざわざバスに乗ってあたしの家まで送ってくれた。



バス停から家までの道はもう真っ暗で、奏と離れるあたしの寂しさも益々増えた。



ゆっくりゆっくりと歩くけど、家には着いてしまうもの。



「ずっと家に着かなければいいのに」



あたしがそう言うと、奏はふっと笑った。



そして、あたしに家の前でキス…。



「も~!」



あたしは頬を膨らませた。



ママとかご近所の人とかに見られたらどうするの!



「ははっ」と笑った奏は、あたしの頭にぽんと手を乗せた。

「じゃあな」



そう言って背を向けて歩き出した。



うー、悔しいけど大好き…。
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