猫かぶりなカップル
フルーツタルトと、チーズスフレ。



あたしがフルーツタルトを食べていたら、奏が「俺にも食わせて」と言ってきた。



「なんで? 奏、フルーツのケーキ嫌いって言ってたじゃん」

「お前に食わせてもらったら美味いかもしんねえじゃん?」



奏が意地悪な顔をして言う。



絶対あたしの反応見て楽しんでる!



「ほら、早く」

「う~…」



フォークにケーキを指して、奏に差し出した。



なんでこんな恥ずかしいのこれ!?



食べさせられるのも恥ずかしいけどあーんするのも恥ずかしい…。



奏はにやっと笑ってあたしのフォークを口に入れた。



そのあとにしかめ面…。



フルーツケーキ好きじゃないのにあたしのことをいじめるからだよ!



バカ奏…。



ケーキ屋さんでゆっくりと時間を溶かし、しばらくしてケーキ屋さんを出て歩き始めた。



いつもと違う道を奏と歩いてるなんてちょっと不思議。



本当に普通の恋人じゃん…。



なんだか嬉しくて、自然と笑ってる。



手を繋いでくれる奏にもっと嬉しくなって。



あたしから指を絡めて恋人つなぎした。



「お前可愛すぎ」



奏がそう言って、「こっち来て」とあたしを路地裏に引っ張った。



「どうしたっ…」



奏にどうしたのと言う前に、奏があたしの腕を引いて、食べるようなキスをした。



顔が真っ赤になるのを感じる。



キスなんて慣れてるはずなのに…。



奏に応えようと、あたしも奏の背中にしがみついてキスを続けた。



ああ…好き…。



顔を離した奏は、あたしの顔を見てにやっと笑った。
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