猫かぶりなカップル
「あんな男初めてなんだけど!?」

「なんか、ほんと…巻き込んじゃってごめんね?」

「意地でも好きにさせてやる!!」

「えっ…」

「あいつの連絡先教えて!!」



あれ…?



なんか、変な方向に話がいってない…?



柚子ちゃん…?



「くるちゃん、あたしが絶対あいつのことくるちゃんから引き離してあげるから待ってて!」

「はい…?」



なんか…柚子ちゃんの闘志に火がついたみたいです…。



*
『柚子です! お兄に連絡先教えてもらいました!』

『柚子ちゃん!?』

『今日はびっくりさせちゃってごめんね!』

『いや、俺こそ変な感じにしちゃってごめんね』

『実は、さっきあんなこと言ったの、お兄とくるちゃんを2人にしてあげたかったからなの…』

『あ~! なるほどな、やっぱ柚子ちゃんが俺なんかとデートとかないよな~!』

『あっ、でも、大河に興味あったのは本当! くるちゃんの本性知ってから好きになったって聞いて、あたしも若干猫被ってるからどんな人なのか話してみたかったんだ!』

『まじ? 柚子ちゃんにそんな風に言ってもらえるとか幸せ者すぎるだろ俺…』



柚子ちゃんがさっきからスマホと向き合って一生懸命誰かとチャットしてる…。



あたしは、柚子ちゃんがニヤッと笑ったのを見逃さなかった。
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