猫かぶりなカップル
あっという間に奏の腕の中に収まる。



そのまま、強制的にテレビの前に座らせられた。



奏があたしを足の間に入れて後ろから抱きしめる。



や、やばい…。



心臓がバックバクして正常でいられない…。



「か、奏…」

「じゃ、今から何する?」

「な、何もしないよ!?」

「何か変なこと考えてんのか?」

「へ!?」



さっきからニヤニヤって…。



奏と家で夜に二人きりなんて想定外すぎるよ…!



ドギマギしてるあたしに構わず、奏があたしの顔を自分の方へ向ける。



いつもと違うシチュエーションすぎてドキドキが止まらない…。



「で?」

「な、なに?」

「俺の好きなとこって?」

「な、なんのこと!?」

「夕方柚子が言ってただろ」



あたしが柚子ちゃんに言わされたやつ…。



本人目の前に言うのは恥ずかしすぎるよ!?



あたしがしばらく黙っていたら、奏があたしの頬を片手でつまんだ。



「ん~!」

「ほら、5秒以内で言わねえとキスするぞ…54321」

「!?」



信じらんない!



一瞬でカウントしてキスしてきた…。



自分がキスしたいだけじゃん…。



「悪い悪い。つい」

「ついじゃないよ…」

「で、俺の好きなとこ、どこ?」

「…」

「ほら、早く。次はもっとすごいキスするぞ」



鬼!!



あたしは仕方なく、ゆっくり口を開いた。
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