猫かぶりなカップル
奏がニヤニヤした顔であたしに言った。



あたしにじわじわと近づいてくる。



やばい! 意地悪モードだ!



後ずさりしたあたしは、奏と教卓に挟まれた。



それでも近づく奏に、もう一歩後ろに下がろうとして、教卓に腰掛ける姿勢になってしまった。



奏が両手を教卓について、あたしに顔を近づける。



「先生の唇、俺にちょうだい?」



意地悪そうに、王子みたいな口調であたしに言う奏に、顔が真っ赤になる。



「ほら、早く」



奏がニヤニヤあたしを急かす。



もう勢いだ!



あたしは両目をぎゅっとつぶって、奏のシャツを片手で握って身を乗り出すように一瞬だけキスした。



離そうとした瞬間、今度は奏からちょっと強引にキスされた。



「…」



顔を離した奏は、満足そう。



バカ…。
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