【完】孤独なメイドは執事を独り占めしたい
なんとか見つからずに部屋まで戻って来れた。

ルイス様に見られたのはボクの一生の不覚だよ...。

「替えの着替えはどこだ?」

「替えのは...大丈夫です!ボク、自分で出します...!」

「いや、これは俺の婚約者がした事だ。最後まで責任取らせてくれ」

婚約者...。そうだったね。

ルイス様はアルーシャ様の婚約者。

何だろう。この言葉を聞いて悲しくなってきちゃった。

「本当に大丈夫です。ボクはもう、子供じゃないし。一人で出来ます...」

「なら何故、そんな悲しい顔をしている。ショック、だったんだろ?こんな事されて」

「違う!あ...」

ルイス様に失礼な態度をとってしまった...。

そうじゃないのに。

ボクが悲しくなっているのは嫌がらせをされた事じゃない。

ボクが悲しいのは...。

「アルマ?」

「大丈夫です。これ、洗ってまた後日お返しします。だから、今日はもう...」

「分かった。すまなかったな」
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