食堂の白井さんとこじらせ御曹司
 他の誰かが見る可能性もありましたが……。黒崎さんが一番に見るのであればそこでストップしてもらえばいいでしょうか。
 いえ、だめですよね。
 大学への申し送りです。
 消せるボールペンで書いた文字を消します。それから別の紙を取り出し、改めて「師匠と二度と呼ばないでください。へんなご意見が届きました」と書く。
 大学への申し送り用紙にクリップでとめます。
 さて、本日分も終了です。
 掲示板に貼って、学生相談室に申し送りの用紙を届けたら終わりです。

 学生相談室の扉の前で、ノックしようかどうしようか悩みます。
 ……まぁ、いいですね。入れておけば。
 相談箱に紙を入れておしまいです。
 渡り廊下を通ろうとすると、どうしても、菜々さんと黒崎さん二人のことを思い出してしまいます。
 スマホを取り出し、ラインアプリを立ち上げます。
 菜々さんの名前をタップして「菜々さんは彼氏はいるんですか?」
 どうしても気になってしまったことを入力。
 ……。
 いると言われたら、どうすればいいのでしょう。
 どんな人ですかと聞けばいいでしょうか?
 答えてくれるでしょうか?
 ……。
 送信ボタンを押す前に、入力内容を消すことにしました。
「聞いて、どうしようというのでしょう……」
 独り言が漏れます。
 黒崎さんとは付き合っていないのは確かです。
 もし、彼氏がいるとしたら、可能性としては……。
 黒崎さん以外の誰かです。
 それは誰なのか。彼氏がいなかったとしても、好きな人はいるのかもしれません。それは誰かのか……。
 頭の中に浮かぶのは、不器用だけれど、食事は器用に美しく食べる人の姿。
 ……。
「知りたくないなんて……」
 知らなければ何かが変わるのでしょうか。
 知ってしまったら……変わらなければいけないのでしょうか。

 次の日とその次の日は、スタッフがいつもより一人少なかったため、天手古舞だった。
 営業時間を、何とか終えます。みんな疲労困憊で、後片付けはいつもより時間がかかり、残業になってしまいました。
 そのあとに、さらに質問に返答するだけの気力はありません……。
 とはいえ、明日も仕事が終わったらディナーの約束がしてあります。
 最低週に1度でよいとはいえ、今までのペーストあまりにも違うと申し訳ないです。
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