食堂の白井さんとこじらせ御曹司
「どうしてもだめなものってありますよね。大根おろしがどうしてもだめっていう人もいますよ。おでんの大根は大好きなのに、大根おろしだけは食べられないとか。ケチャップは大好きなのに、トマトはだめだとか。変わり種としては、キャベツは生でも煮ても焼いてもなんでも食べられるのに、ロールキャベツのキャベツだけはどうしても食べられないとか」
「それ!それだよ、それ!僕も、きゅうりはどうしてもだめなんだけど、きゅうりの漬物だけは食べられるんだよ!妹には単にわがままだって信じられないって言われるんだけど」
「妹さんは好き嫌いしないんでしょうか。私はイチゴ味のお菓子が大好きなんですが、なぜかイチゴオレだけは飲めないんです」
「お酒は?飲めないのある?」
「お酒ですか?」
 メニューを見る。
「この辺は、飲んだことないから分からないですね」
「ビールの苦いのとかも平気?」
「ええ、ビールも飲めますよ」
「じゃぁ、大丈夫じゃないかな?飲んでみる?飲めなかったら僕が飲むから試してみたら?」
 せっかくなので、飲んだことのないものをお互いに注文して、飲めなかったら交換することにした。
「あ、おいしいかも」
「本当だ、これももっと甘くて飲めないかと思ったら案外いける」
「新発見にカンパーイ」
「カンパーイ」
 なんて、気が付けば菜々さんの元カレ(仮)と、食べ物と飲み物の話で盛り上がってしまいました。
「結梨絵さん、モテるよね?」
 ん?お酒も5杯目になるころ、突然話が変わりました。
「モテませんよ。今日は菜々さんにいつもよりかわいくしてもらったんです。そっちは?モテるんですか?」
 顔もよく見えてないのでモテそうともモテなさそうとも判断がつかない。体格は悪くなさそう。性格も話しやすいですし。
「いやぁ、まぁ、なかなかいい出会いはない……かな」
 おや、モテないよと否定しませんでしたよ。いい出会いがないですって。
 つまり、モテるけど好みの女性とは出会えないってことかな?ふぅーん。イケメンなのですか。
 菜々さんはきれいだし、美男美女カップルだったのでしょうか。それはそれは。
「え?何これ?」
 菜々さんの声に、何事かとテーブルに視線を向けると、運ばれてきたサラダのど真ん中にどーんととげとげした丸いのがのっています。
「うわぁ、珍しい。アーティチョークですね」
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