食堂の白井さんとこじらせ御曹司
「大学に何とかしてほしいと言っているんですよ?警察にじゃないです。コインランドリーに行けないなら、行けるようにしてあげればいいんです」
 黒崎さんが寄った眉根を指でほぐす。
「私が、相談者がコインランドリーに行くたびに護衛すればいいと言うのか?いくら何でも一人の学生のためにそこまでは」
 護衛……黒崎さんSP姿とか似合いそうですよね。って、違いますよ。
「一人の学生だけではないと思いますよ。声を上げたのはこの子ですが、一人暮らしの女性は同じように怖い思いをしていると思います。コインランドリーに行くことができても、下着を人に見られたくないと思っている人は多いです。女性専用コインランドリーが欲しいと思ったことありません?男の人も、見るつもりがないのに見えて気まずいこともあるでしょう」
 見ていないのに見たと睨まれたなんていう話を聞いたこともあります。
 乾燥機にへばりついて残っていた下着を間違って持って帰ってしまったなんて話も……。

「まぁ、いや、うん、そうかな?コインランドリーを使ったことがないので分からないが……」
 そうでした。ハウスキーパーがいる人がコインランドリーに行くはずがありませんね。
「大学にコインランドリーを作ってください」
 必要のない人には、必要性が分からなかったのですね。
 コインランドリーは便利です。梅雨とか。毛布などの大きなものを洗濯したいときとか。
「作る?大学に?」
「できれば女性専用と男性専用と男女共用と簡単に仕切ってもらえるといいですね。敷地内にコインランドリーがあれば、講義を受けている間に洗濯から乾燥まで終わるので便利ですし、怖い思いをしなくて済みますよね。それから、部活のユニフォーム関係の洗濯もできるでしょうし、役立つと思いますよ」
 黒崎さんが目を見開いた。
「待て、待て、待ってくれ、いや、コインランドリーがあれば学生も助かるというのは分かった、分かったが、そう簡単なことではない……。予算の問題から、一部の学生のためだけの施設を設置する問題や、それから……」
「ふっふふふっ」
 思わず笑いが漏れる。
「な、なんですか、白井さん、何がおかしいんですか?」
「いえ、私と同じだと思いまして」
「同じ?」
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