食堂の白井さんとこじらせ御曹司
「私も、学食へのご意見に、たこ焼きをメニューにとかカレーの辛口をとか言われても、予算そのほか、まずそういう現実的に実現できるかどうかということから考えてしまうので……」
 黒崎さんがふっと笑う。
「いや、それは普通のことだろう?本を1冊買って図書館に入れる程度のことならまだしも、コインランドリーともなれば……。そうだ、乾燥機能付きの洗濯機はいくらするんだ?」
 黒崎さんが、自分が集めた洗濯機のパンフレットを手に取りました。
「オープン価格、値段がわからない。いや、確か、電気販売店で見た記憶では、15万ほどだったか?それをなんだいくらい設置すればいいんだ?」
  何やら頭の中で計算を始めた黒崎さんに声を掛けます。
「黒崎さん、食堂にたこ焼きをメニューに追加してほしいというご意見が寄せられました」
「あ?ああ、見た。導入しても冷凍になるだろうという返事をしていたな?」
 よく覚えていますね。
 学生相談室には申し送りしか入れてませんが、どうしてやり取りまで……。
 もしかして、掲示板も見てます?
「新しく、たこ焼きについてご意見をもらいました。まだ返事は書いていませんが……」
「それが、コインランドリーとどんな関係があるんだ?」
 さすがに黒崎さんは眉を顰めます。
 そりゃそうですよね。いきなりたこ焼きの話をされてもと思いますよね。
「冷凍たこ焼きはいやだそうです」
「わがままだな」
「ですから、たこ焼きの屋台を大学に呼んでくれと書いてありました」
「は?」
 黒崎さんの眉根がさらに寄り、そして……。
「白井さん、そういうことですか!」
 私の両手を黒崎さんが握る。

「なるほど、ありがとうございます!何も大学が設置する必要はないということですか。コインランドリーを誘致……。業者に学生が使いやすい場所に設置してもらう……」
 にこっとほほ笑む。
 学生さんの考えは柔軟なので、時に思いもよらない意見に助けられますよね。
「私がすることは、大学側へ業者を参入させる許可を取ること、業者へどれだけの利益が見込めるか示し出店を促すこと。……ああ、だとすると、まずは学生アンケート……と、学生の生の声が聴きたい。白井さん……いや、師匠!協力をお願いします!」
 協力?
 それは構いません。
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