食堂の白井さんとこじらせ御曹司
「あー、それは、設置してみて、利用状況を見て改善していくということしかないでしょうかね」
「アンケートしてはいかがですか?」
 黒崎さんがむつかしい顔をしました。
「学生にアンケート用紙を配って記入してもらうというのは、数年前に禁止になりました。特例としてオリエンテーションの時間は許されていますが、それ以外の講義の時間に行うのは、高い授業料を支払っているのにアンケートのために時間を使うなという意見がありまして……」
 そうか。そういわれれば、そうですね。
「意見箱に意見を入れてもらうとしても、偏った意見になってしまうかもしれませんね……。そもそもどれほどの意見が集まるか……」
「そうなんです、それで、できるだけ多くの声を集めたいのですが、なかなかむつかしくて、とりあえず白井さんの声を聴こうと」
 ……、なぜ、まず、私なのでしょうか。

「こういうのはどうでしょう。具体的な声は、コインランドリーご意見箱に入れてもらうとして、簡単なアンケートは……」
 と、印刷した紙の裏に、簡単な表を書く。
「時々、祭りやイベントなどで見かけますよね?シールを貼ってもらうだけの簡単アンケート」
 あなたはコインランドリーを使いますか、使いませんか、シールを貼ってもらう。女性は赤いシール。男性は青いシール。
 コインランドリーでは何を洗いますか。日常衣類、靴、ペット用品……など。
 コインランドリーを使う頻度は?
 などなど。シールを貼ることで答えてもらうアンケートです。
「ああ、なるほど。これなら、多くの意見を集められそうですね。大きなものを掲示しておけば、なんだろうと興味を持ってみてもらえるかもしれませんし、さすがです!」
 なんだか、黒崎さんがとても嬉しそうです。
「さすがしs……白井さんだ!」
 今、師匠と言いかけませんでしたか?気のせいでしょうか。
「掲示物、そのほか意見を募集するための用紙や箱、必要なシールなど、コインランドリー関係のものは黒崎さんが準備されるんですよね?」
 これはしっかり確認しなければなりません。
 とてもじゃありませんが、仕事をふられても困ります。食堂の仕事ができなくなってしまいます。
「え?」
 え?って何でしょう。
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