独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
少し確認のお時間をくださいとお願いしようとしたとき、背後で物音がした。

「あら」

「お母さま?」

「ごめんなさい、お邪魔しちゃったわね。お手洗いに出たついでに少し散策していたら迷ったみたいなの」

いつの間にか私たちのそばにいた母はふわりと笑った。張り詰めていた空気が一気に和らぎ、私は母に縋りつきたくなる。母なら私が真崎家にお金の無心などしていないと信じてくれるはずだ。

「先に戻ります」

透哉さんは母を巻き込むつもりがないらしく、そこで話を切り上げた。私と母を残して離れの間に戻ってしまう。

彼になにも申し開きできないままになってしまった。

「琴子、なにかあったの?」

表情を曇らせている私に、母は首を傾げた。

「お母さま、真崎家のみなさまはなにか誤解しているようなの」

私は母に、たった今透哉さんから告げられた内容を伝えた。

すると母は目をぱちくりさせて、衝撃の事実を口にする。

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