独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
仲人が帰った途端、母は早速結婚記念品の数々を開封した。私はそれを複雑な表情で見つめる。この状況に母だけが浮かれている気がした。

その夜には透哉さんから私に電話がかかってきた。

『いつから一緒に暮らせそうだ?』

問われ、私は「透哉さんにお任せします」と答えた。

新婚生活は彼がひとり暮らしをしているマンションで始めるらしい。

家具や家電などはひと通り揃っているので、運び込む荷物はそれほど多くはなさそうだった。

私の引っ越しは、一週間後の日曜日の予定になった。

電話を切り、私は小さく息をつく。

いろいろなことがとんとん拍子に進み、少し心が追いつかなかった。

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