セカンド・ファーストラブ
セカンド・ファーストラブ
大学4年の秋、就職活動も無事終わって、単位も取り終えているから大学に行くのは週1のゼミだけで暇を弄んでいた。


『今日の合コン19:00からだからそれまで遊ぼ』


スマートフォンがピコンと音を立てて通知を知らせる。差出人は高校の時からの友達の璃咲(りさ)だった。それに即座に『13:00に美容室の予約入れてるから15:00過ぎには時間空くよ』と返事を送る。


スマートフォンを再び白いローテーブルの上に置いて、ドレッサーの前へと戻って中断していた化粧を再開させた。


私は気の知れた少人数でご飯に行くことは好きだけど、あまり合コンや大勢の飲みの席は得意ではない。だけどどうせ暇でしょ、という理由で絶賛恋活中の璃咲から度々そういう席に誘われて、毎回断るわけにはいかないから適度に参加している。


あまり乗り気ではない私はきっと璃咲にとっては目当てが被ることがないから丁度いいのだと思う。


まあ乗り気ではないといえども、好きな人がほしくない訳ではない。私は高校時代の初恋以降、恋をしていないからいい加減新しい恋に踏み切らなきゃと焦る気持ちもある。


テレビから流れる最近流行の音楽をぼんやりと聞き流しながら、秋らしいバーガンディの深みのあるリップを塗った。

高校時代はコーラルピンクとか青みピンクみたいな可愛らしい色しか塗ってこなかったなとふと思って、こうやっていろんなこと、気づくにも取るに足りないような些細な変化が日常に溢れすぎていて自分が大人になってしまったことを知る。
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