君との恋の物語-Obverse-
『ねぇ、風邪ひくよ?』
しばらく黙っていた君がそう声をかけてくれた。
「私、君の彼女に相応しくない‥」
『そんなことないよ。俺がこんなにさぎりを好きなのに、なんで相応しくないんだよ』
「だって‥すごく不安そうだったから‥」
『さぎり。それはね、さぎりのことが本当に好きだからだよ。逆に言うと、この不安は、さぎりにしか消せないんだ。自分でなんとかしたいけど、できないんだ。』
そう‥なの?
「私も、本当に君が好きだよ。それじゃ足りないの‥?」
『足りないよ。』
え‥?てっきり、十分て言われると思ってたのに‥。
「なにが‥足りないの?」
『さぎりと俺の違い、なにかわかる?』
どういうこと?
君が、私を傘に入れてくれた。それだけでなんとなくあったかい感じがする。
「違い‥なんだろ‥?」
『具体的に言えば、俺はしているけど、さぎりはしていないこと。』
それって‥
「告白のこと?」
『それもそうだけど、今日誘ってくれたのは、告白の変わりだろ?だとしたら別のことじゃないか』
気付いてたの‥。やっぱり君って不思議。
違い‥君と私の違い‥さぎりと俺の違い‥


「あ!」



「あ!」





もしかして
『気付いた?』
私‥私は‥
「君を‥名前で呼んでない‥」
違うかな‥?
『よくわかったね。さすが!』
君が‥いつのまにか笑顔になってる。
「ごめん‥全然気づかなかった‥。君って呼びなれてしまったから‥。」
『いや、いいんだけど、やっぱり名前って特別じゃない?俺だけの物だし。だから、例え苗字でも、ちゃんと呼んでもらってる前田に、ちょっと妬いてた‥。ごめん。』
そっか‥それで‥
「い、いや、私こそごめん‥ちゃんと名前で呼んでなくて‥しかも、気づけなくて‥」
でも名前で呼ぶなんて‥恥ずかしくて‥考えただけで顔が赤くなっちゃう‥。
『大丈夫?顔赤いけど‥熱っぽい?』
いや、これは‥
「だ、大丈夫!全然大丈夫!!」
『そ、そう?‥えっと、ごめん。なんか言ったらちょっとすっきりしてしまった‥えっと、でも、時々は名前で呼ばれたいなぁなんて‥』
「〇〇‥」
はっずかしい!!死ぬ程恥ずかしい!!
『え?』
え?じゃないよ!私がどれだけ恥ずかしいの我慢して呼んだと思ってんのよ!
「〇〇!」
『お!?』
「恥ずかしい!本当に恥ずかしいけど、なんとか呼べるようにする!だから不安にならないで、私が好きなのは、〇〇だけ!!」
もうね、顔文字にするとこんな感じでした(>_<)
私、必死。
『あ、ありがとう‥ごめんね、こんな小さなことで妬いて‥』
君がそっと抱きしめてくれた。あったかい。傘があるだけで、なんか2人っきりって感じが強くて‥安心する。
「私こそごめんね‥君のこと、ちゃんと考えられてなくて‥」
やっぱりずっと名前では恥ずかしい‥。でも、これも言っておきたい。
「私も一つお願いしていい?」
『え?うん。いいけど‥』
「木村結さんの話ばっかりしないでほしい‥綺麗な声だし、歌上手だから私も好きだけど、君が夢中になりすぎたら私は嫌いになっちゃいそうだから‥」
『わかってるよ。』
え?わかってたの?
『前田の件の、仕返し。』
もう!
「〇〇って、ちょっと意地悪だよね‥」
『そうだな。でも、こうしてる時なら、冗談で済むだろ?』
確かに‥ぎゅーってされてると、なにも怖くないし。
「雨もいいかも‥。」
『ん?あれだけ嫌いだったのに?』
うん。だって。
「傘の中で、〇〇がぎゅーってしてくれるから」







なんていうか、とんでもなく恥ずかしい時期の話でした(>_<)
前回の私とはちょっとは変わっていましたかね?
私的には、〇〇と付き合ってから自分がよりオープンになったなって思ってました。
冒頭では、自分がどんどん弱くなっていく気がするって書きましたけど、今はそうは思いません。
だって、人は皆弱いですよね?だけど、それを隠してるんですよ。
私が弱くなっていってる気がしたのは、初めて弱さを見せられる相手を見つけたからです。そういう相手がいて初めて、人って自分の弱さを認められるんだと思います。
それに、弱さを知ってるから強くなれるんですよね!
〇〇と付き合って、それを知りました!



え?〇〇がなんて名前かって??
書いてあるじゃないですか!
ちゃんと。

え?どこに?って?
第1話の書き出しですよ。
最初の4行の最初の文字を立てに読むと‥??













(>_<)
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