結ばれない運命〜愛する人は空の彼方へ〜
俺はハアっと起き上がり、目の前に凛の顔があるのに驚いた。
凛は顔を真っ赤にして「もう、急に目を開けたらビックリするでしょ」と狼狽えた。
そう、キスしてくれたのは夢じゃなかった。
「凛」
「毎日来なくていいよ、仕事忙しいんでしょ、居眠りする位に」
「大丈夫だよ、毎日凛の顔みたいから」
俺は凛を抱きしめてキスをしたかった。
凛をこの腕に抱きしめたい。それは許されない事なのか。
百合絵の事が引っかかる、百合絵に対しての責任も俺には少なからずあると思っている。
凛、俺は許されるものならお前と一緒にいたい。
私はこうなる事を望んでいたはずなのに、涙が溢れて止まらなかった。
多分、百合絵さんと結婚するんだろうと思っていた。
廉と共に過ごした日々は脳裏から離れない。
こんなにも寂しいなんて、廉、あなたはどうして社長なの、どうして婚約者がいるのに私に近づいたの?
酷いよ。
百合絵さんから廉を奪うなんて出来ない。