篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



勉強して満点取っても、朝から晩まで机に向かっても、誰にも褒められたことがない。

100点が当たり前みたいな態度で、俺も次第に慣れたけど……


誰でも思いつく、慰めの言葉。

たったその一言が欲しかった。



『よく頑張ったね』

『落ちこぼれなんかじゃないよ』


やさしく微笑みかけてくれる倉科に、
だんだん溺れていく。


やっと頑張りを認められたような気がして。


“良い成績を取り続けないと捨てられる”
“親が望んでいる完璧な優等生でいないといけない”
っていうプレッシャーから解放された。



倉科は大人しくて、ちょっとキスしたり触れただけで顔真っ赤にするからいかにも経験ゼロって感じの子。

他の奴と同じく適当に遊んで飽きたら捨ててやろうと思ってたのに

いつからか特別な感情を持つようになった。


口紅を塗りたくったのとは全然違う、
リップを塗っただけの唇にキスするのが、すげー柔らかくて癖になる。


人生で初めて好きになった女だから、
ぜってー誰にも渡したくねぇ。


< 110 / 180 >

この作品をシェア

pagetop