篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



ひとり悶々としてると、母が私を起こす為に部屋に入ってきた。


「い、痛い!なんか、熱はないけど体中が痛くて起きれないから、今日は学校行けそうにないかもー!」


大袈裟に体をさすってみたけど、下手な言い訳が通用するわけもなく、何言ってんの?と言いたげな無言の圧力に負けた。


うう……仮病使おうとした前科があるから全然信用されてない。

大人しく行くしかないのか。


いつも通り登校して、席に座ると遠くにいる篠宮くんがこっちを見てるような気がした。自惚れじゃなく、本当に。


事故チューしてから毎日見られてるけど、今日はいつもより頻繁に目が合っている気がした。


もう1回したいっていう要望に応えたから、もう用はないはずなんだけど……なんで未だに見られ続けてるの?



そわそわして落ち着かないまま午前中の授業が終わって、ようやくその原因に気付く。

私も知らないうちに篠宮くんを見つめていたんだ。

お互いが相手を見つめてたら、よく目が合うのも当然で。

その事実にまたぶわっと顔を赤らめ、恥ずかしすぎる行動に内心頭を抱えた。

思いっきり見てたのは私も同じじゃない!


所詮夢の中の出来事を、引きずってしまっている。

こういう時に限って、何故か鮮明に思い出せてしまう自分が憎い。

ああ………ほんと何なの私、意識し過ぎだよ。




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