篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「ちょ、1回だけって言ったはずでしょ!」
「えー、駄目?」
「当たり前でしょ!人の話聞いてた!?」
不満そうな顔をされてもしないからね!
「それなら、倉科に遊ばれたってクラスの女子に言いふらそうかな。きっと怒るだろうな」
「はい!?」
みんな、聞きました?むしろ遊ばれたのは私の方なんだけど。
でも、人気者の篠宮くんと地味な私のどっちの言うことを信じるかなんて分かりきってる。
「あー、もう!勝手にすればっ!?」
「うん、そうする」
篠宮くんが嬉しそうに顔を綻ばせたのを見て、また恥ずかしさが込み上げてきて、逃げるように教室を出た。
キスの途中でサラッと頭を撫できたり、手を握ってきたりする仕草や終わって目を開けた時の色気のある表情がどうしても頭から離れられない。
3回目だけどまだ慣れないよ……勢いでしてもいいみたいな事言っちゃったけど、次からはちゃんと断ろう。本命彼女がいるかもしれないし。
火照った体を冷ますために、今日は少し長めに歩いて帰った。