この恋は狂暴です

俺は乃野を待たせているって事を、すっかり忘れて日和と愛し合っていた。

草の香りに混じって、なつかしい日和の甘い香りがする

やわらかい髪・・ 色っぽい   ・・声


心の中まで絡みつく


俺は忘れてない 
この感覚を  ・・この心地よさを 


「日和  ・・もうぜってぇ、離さねぇ」
俺はそう言って日和の中へ入っていく 

「あ ・・かお ・・る」 体をよじらせ感じてる日和。


愛してる 
愛してる ――――――――― 

日和 ―――― っ ・ ・







・・【薫・・】




「え!!」

ハッ!っつ!! ―――――――――  あ

頭の中に、乃野の声が聞こえた

バッッ!!!


思わず日和から体を離してしまったっ

「?」
その行動を不自然に思ったのだろう、日和は体を起こして

「 ? ・・薫、もしかして?
・・もう大事な彼女とかいるんじゃないの?」

「!!」   確信をついてきた。



「・・あれから5年もたっているもんね」
「え、あっと、 日和、なんで?彼女いるって?」
「だてに歳はとってないから。なーんて、実は薫の香り。私の好きな香りじゃなくなっていたから。」


――――― あ ―――・・そっか

日和と別れた時から、
俺、あの香水つけなくなっていて 
乃野がいいと選んでくれた、この香水をつけるようになってた

「もしかして、今日その彼女と会う約束とか?」
「う」  日和は鋭い

「行ってあげて。私も、もう戻らなきゃいけないから・・」
そう言って、日和は立ち上がろうとする。



「俺、・・ごめん」 俺は俯いた。

そんな俺を見て、日和は小さく笑い、
「私が先に薫の手をはなしたんだよ。だから、薫が誤るコトなんてないよ。」

「日和、俺 っ、――― そいつとは、わ、・・―――――! 」

――― その後、なんて言おうとしたんだ? 俺っ!

すごく、すごくっ ・・ 最低なコト、言おうとしてたっ!


――――――――――――― っ!!

  
 
「薫、これで本当にさよならだね。 ・・会えて嬉しかった。」 日和は微笑んでそう言った。



「――――――――――――っ! 日和っ!」

俺は、俺は本当はどうしたいんだ?
乃野は? 本気じゃなかったのか?   ――いや違う!
乃野の事は大好きだ!マジで!

―――――――――――――――でもっ! 
日和をまた ・・離すのかっ? 今なら、手を伸ばせば届くんだぞ?
このままだとまた日和はどこか遠くへ行ってしまって 
・・ もう二度と    ・・会えないかもしれない 

日和と ・・もう  ・・二度と?


「そんなのイヤだっ!!」 俺は日和の腕を掴んだ!    その時、

「なにやってんのっ!あんたはっ!!」

いきなり怒鳴り声? え? この声、

「・・い、泉?」
振り向くと、そこには泉の姿。 隣にはバイクにまたがった大紀くんの姿も

「あんた!乃野の事ほっぽって、こんな所でなにやってんの!!」
泉の怒りがおさまらない。
ふっと、日和のほうへ目をやる泉。    「!!!」

一瞬にして、泉の瞳が曇るのがわかった。

「――――――――――― っ、  か、薫 っち 、これ、 どーゆーコっ?」
泉の息が切れ切れになって 

ガシッ!!  いきなり胸倉を掴まれた。
「ふざけんじゃないわよっ薫っ!!」 今にも殴りかかりそうな泉を大紀くんが止めた。
「大紀っ!なんで止めんのよっ!!もうこいつなんて庇うことないじゃんっ!殴らせてよっつ!!」
大紀くんに捕まれながらも大暴れして、俺のことを睨み続ける泉。




「・・私は、やっぱりあなたの側には居られないみたいね」
日和はそう言うと、スマホを取り出してどこかに電話をしだした。

電話を切ると、
「今、迎えが来るから、あなたたちは、もう行ったほうがいい」

日和のその不自然な言い回しが気になった。

「は?あんたなに様?!」 泉は日和にまで絡み出す。

が、大紀くんだけは  
「じゃ、そうさせてもらいます。 泉、後ろ乗れ。 薫も俺と一緒に来い。」 
そう言い、泉を引きずってバイクに乗せた。

―――――― ? 大紀くん ?

「日和」
なかなかバイクに乗ろうとしない俺に、日和は

「私の事は忘れて ・・薫。」 と微笑んで 
俺にまた 
 ・・背をむけたんだ 


俺は昔と変わってない、あの時のままだ 

あの時 

日和に「さよなら」って言われたときから  ・・俺は全然変わってなかった


またこうやって日和に背を向けられるだけ


なにもできない




「薫っ!」 大紀くんが怒鳴ってバイクをふかす。

――――――――――――― 俺は その言葉に従うしかない 

日和には   また    この手は届かない 


バイクにまたがった俺は日和の後ろ姿を見つめた 


―――― 日和・・


そしてエンジンをかけた。
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