生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜

変化

「みんなに紹介したい者たちがいる。ハウル、ナンシーここへ」

アオハル学園から自宅に戻った3兄妹と向き合ったロゼレムは、珍しく真顔で言葉を発した。

「スチュアート家に居候させてもらうことになりましたハウルです。よろしく」

「同じく、ナ、ナンシーでございましゅ・・・!」

ハルルは、生まれて初めて対面する、この島への初移住者に驚いて目を見張った。

あまりの興奮にちらりと両隣を見るが、ミシェルもカノンも顔色一つ変えずに平然としている。

さすが美麗でクールな兄妹だ。

“だめよ、ハルル。Be cool (冷静に)!“

ハルルは興奮しそうになる自分を沈めようと気づかれないように鼻で呼吸をした。

それでもやはりハルルは新参者の二人から目を離せない。

なぜなら、この二人・・・ファンタジーオタクトキメキ必須のケモミミ、そう獣人だったのだから!

ハウルと名乗った彼は20代前半、前世で言えば大学生くらいに見える。

濃いめのブラウン色、やや癖毛、肩までの長髪。

同色の尖った三角耳、長い尻尾は狼の獣人だと思われる。

やや浅黒い肌の目測175cmワイルド細マッチョイケメン。

端的に言えば、ハルルのたいへん好みである。

そして、もう一人のナンシー。

150cmに満たない低身長は年齢不詳に見えるが、白髪ショートヘアに三角の耳、細長い尻尾は猫の獣人ぽい。

こちらもとても可愛らしくて大変好ましい。

それにこのナンシー、初っ端から口籠ってしかもカミカミなんて”ドジっ子子属性”が垣間見れて美味しすぎるではないか。

ハルルは目をキラキラさせて二人を見つめていた。

“なにコレ、15年間真面目に生きてきたご褒美なの?“

どうせ転生するなら魔法が使えて、獣人や妖精のいる国に転生したかったと常々思っていた。

この島にも双子の友人が使える"癒やしの魔法"はあったが、ハルルは使えない。

他国の獣人や妖精の存在については、あまりにも鎖国な状況下にあるため、その存在を確約する証拠をハルルは持ち合わせていなかった。

だから半ば彼らの存在はないものと諦めていたのだが、今こうして目の前に突如現れた。

信じられない、夢みたいだ、と思ったが、頬をつねってみても普通に痛いので現実なのだろう。 

「こら、ハルル。なんで頬をつねってるの?」

と、真っ赤になったハルルの頬を見て驚いたミシェルが咎めるまで、ハルルは自分の頬をつねり続けていた。

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