生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「ねえ、ハルル。ハルルのお家に変わったお耳と尻尾があるお兄さんとお姉さんが来たって本当?」

昼食後、一人学園に戻ったハルルは、早速、双子の癒やしの魔術士サイファとエミリアに捕まった。

「あら、誰から聞いたの?」

「マイケル」

まだ来たばかりの移住者情報を広めた人物の正体は、アオハル学園の外庭でDIYをすることの多いショタ枠マイケルだったらしい。

「ハルルの家の前を通ったら、狼と猫みたいな耳と尻尾を持ったお兄さんとお姉さんがロゼレムおじさんと歩いてたってマイケルが言ってた」

ハルル同様、瞳をキラキラさせて期待いっぱいのサイファと違い、妹のエミリアは少し不安そうに囁いた。

双子が生まれて以降、ハルルの知る限りこの島国に島人以外が足を踏み入れたのは初めてのことである。

そこに期待や不安が入り交じるのは当然のことであろう。

「お二人にケモミミと尻尾があるのは本当よ。とてもカッコイイいいお兄さんと可愛らしいお姉さんだったわ。きっとサイファもエミリアも仲良くなれると思うわ」

「ケモミミ?」

「私が知っているワンちゃんやニャンコに付いている可愛いお耳の名前よ。でもお二人がそう呼ばれるのは嫌かもしれないから、二人はお耳と呼んでね」

ケモミミは前世の言葉であるが、敢えて別名をつけることで人種の違いを強調するのは好ましくないだろう。

ハルルも、二人が侵入者と言う意味では多少警戒しているとはいえ、二人に敵意が感じられないと判断できれば早々に親睦を深めるつもりなのだ。

もちろん双子にも獣人だからといって二人を見かけだけで判断してほしくはない。

先入観を持ったり、自分と異なる者を認めないといった狭い考えはイジメや差別に繋がるからだ。

「本当?早く会いたいな」

サイファの言葉を聞いて、ハルルは笑顔で双子の頭を撫でる。

「色々と島のことを教えてあげてね」

「うん。わかった」

この島国には、10年間でハルルが広めた独自の生活習慣や遊びがある。

異国から来た二人にも早々に馴染んでもらい、ハルルの野望 “自国防衛化計画“に参画してもらえたらと願うばかりだ。


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