その後のふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
05.ときめきの明滅


カラン、カラン、と、下駄の心地よい音。

自分の足元から響くそれを聞きながら、わたしは不安げに、隣を歩く美月を見やった。


「……変になってない?」


美月は、わたしの周りを1周すると、ビシッと親指を立てる。


「うん、全然。崩れてないし、ちゃんと着れてる」

「よかったあ」



――待ちに待った、お祭り当日。


日が傾き始めると、先程までの暑さが空へと吸い込まれてしまったみたいだ。

肌に触れる風が心地よい気温の中、わたしは美月と一緒に、大椛神社へと向かっていた。


……せっかくの浴衣デートだから。

楽しみはとっておきたくて、おーちゃんとは現地で待ち合わせることにしている。


わたしは、お昼すぎに美月の家にお邪魔して、せっせと身支度をしたのだった。

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