とある先輩の、歪んだ狂愛。
「ぜんぜん冷淡ロボットなんかじゃないじゃん。普通の女の子、…かわいい女の子じゃん」
ロボットだって故障する。
エラーだって起きる。
その度に修理してもらわなくちゃ駄目なんだよ、先輩。
この冷淡ロボットを修理できるのはあなたしか居ないのに。
「でも悔しいのは…涼夏の傍に居てあげられないこと」
決意が───…歪む。
「…先輩、嫌です。行かないでください、転校なんか…やめてください…っ」
叶わなくていい。
友達にだってなれなくてもいい、いじめられたっていい。
先輩に何度噛まれたっていい。
だから、ずっとここにいて。
「彩と重ねててもいいです、彩に、なります…だから…っ、」
「彩じゃない。お前は涼夏だよ」
わたしの名前はそんなにも花のような色とりどりの可愛い名前じゃない。
涼しくて淡々としていて冷たいもので。
名前ですら「彩」になれないことがこんなにも悔しいなんて。
「いいんだよ、お前は涼夏のままで。彩になろうとしなくていい」