とある先輩の、歪んだ狂愛。




「例えば、いつか彩に見た目がそっくりな人が現れたりするかもしれません」



でも、今なら分かる。

それって本当なんだって。



「生まれ変わりとか…そういうスピリチュアルな話もあるかもしれないです」



人生、なにがあるか分からないから。

こんな冷淡ロボットが誰かに恋をしてしまうくらい。

ほんとに、なにがあるか分からない。



「だから……っ、…どうぞ、幸せになってください、」



途切れ途切れになってしまった。

ずっとずっと堪えていたものが、とうとう溢れてしまったらしく。


ポロポロと落ちては床に染みを作ってゆく。



「…涼夏、これから戦場にでも行くの?」


「…行かないです、」


「それくらいのレベルだよ、その台詞って」



だって先輩、絶対に連絡くれない。


分かるよ。
わたし、ずっと先輩を見てたんだから。

先輩が彩のために流した涙だって知ってる。



「…さっきは似てない子にしろって言ってたのに、どっちなんだよ」



わからない。

先輩にはずっと笑っててほしい、でも似てる子は嫌だ。



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