とある先輩の、歪んだ狂愛。




どうせ、こんなこと言ったら『あまねくんに被害が出ます』なんて断ってくるんだろうけど。

だとしても、それでもよかった。


俺はたぶん、いやきっと。

立花のことが好きだから。



『俺と付き合ってよ』


『…つき…あう…?』


『うん。…俺の彼女になって。そうすれば立花はいじめられなくなる』



そんなものはただのエゴ。

どうにかしてでも『うん』って言って欲しかっただけ。


でもその通りに救えるんじゃないかと、浅はかな考えをこのときの俺は確実に情けなくも持っていて。



『…そうやって、からかってるんですか?』


『からかってない』


『…私なんかの、どこがいいんですか』


『そーいうところ』



そうやって謙虚で遠慮ばっかしてるところ。

自分に自信がなくて諦めて、いじめだって『仕方ない』で片付けてしまうところ。


そうやって頑張って耐えてる立花を見ると、この上なく自分だけのものにしたくなる。



『いやです』


『なら無理やりにでも貰うよ』


『っ…、』



< 74 / 242 >

この作品をシェア

pagetop