私に恋を教えてください
嵐を呼ぶ女
メインディッシュも終わり、食事も、ひと心地ついた頃、クリスのタブレットが音を立てた。

「あ、来た」
来た……?

クリスがタブレットに触れると、女性の声が聞こえる。
そのハキハキとした明るい声は、まるでタブレットから飛び出してくるように響いた。

『クリス⁉︎ どういう事なの⁉︎ 駆琉の婚約者と今一緒にいるって本当⁉︎』

「ほんま、ほんま。しかも僕もプロポーズしてんのに、揺らぎもせえへんの」
それは駆琉の姉の莉子からの、動画通話だった。

『駆琉、いるのよね?』
駆琉は軽くため息をつく。

「いますよ」
『彼女は⁉︎』

「じゃーんっ!」
クリスが笑って、タブレットを柚葉に向ける。

──はわわっ!
柚葉は慌てて、頭を下げた。

「初めまして。榊原柚葉です」
『柚葉ちゃん!こんにちは、駆琉の姉の莉子です。お顔見れて嬉しいわ』

画面の莉子はとても綺麗な人で、すごい笑顔を柚葉に向けてくれている。
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