私に恋を教えてください
「和風⁉︎」
「ホテル。けど、その中に和風のオーベルジュのようなものを併設している宿だ」
「全く、想像つかない」
「だろうな。けど、気に入ると思う」

タワーの最上階も最初はガッカリした風だったけれど、最初の皿が目の前に置かれるとクリスの態度は一変した。

フレンチではあったけれど、侑也の意向を受けて少し和風にアレンジしてあったからだ。
見た目にも美しい前菜から、写真をとりまくるクリスである。

「この美意識がたまらない……。僕はずっと画面で日本を見て憧れてきたけれど、こうして体感すると来てよかったと心から思うよ」

「良かったな」
「うん」

笑顔で素直に頷くクリスは少し可愛かった。
見た目は王子様のようで、とても綺麗な人なのだ。

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