【完結】打算まみれの恋
【松戸緋奈さんへ】
秋になり少しずつ月の時間が増えてきましたね。昼間と夜に寒暖差が出ることで体調を崩す人も増えたと聞きます。緋奈さんはお変わりないですか?
こちらは……というか、今回はこちらが変わったお手紙を出してしまいましたね。封筒の厚みで分かる通り、少し込み入った話を書きました。まとまりきらなくなって、初めにお知らせしたほうがいいかとここまでは一度全部書いてから、書き直しという形をとっています。緋奈さんには僕がなぜ女性を苦手なのかを、知っていただきたくて。
緋奈さんの先輩で、僕の親戚の恋人である双山晴さんから僕の話は聞いていても、僕の弟の話は聞いていなかったと思います。実は僕には弟がいます。俗に言うイケメンで、サッカーをやっていて一般的に言うモテることが好きです。なのでもうそれはそれは酷いモテ方をします。漫画のモテモテなキャラクターみたいです。
一方僕も実は派手顔で、遊んでいるような顔です。
でも、僕は暗い人間です。手紙をやり取りしている緋奈さんは知っていると思いますが、お酒も飲めないしギラギラした明るいことが苦手です。うぇーいみたいなことを言う人とは恐ろしくて近づけません。休みの日はずっと電気を消した部屋で絵を描いています。オタクです。
でも弟の周りの女子は、弟に相手にされないとみんな僕のほうへ向かってきました。妥協するんです。弟の代替え品として僕のところへ来ます。
俺は今までずっと弟の代わりでした。
弟のことは好きですが、そういうこともあって大嫌いになるときがあります。そしてその瞬間がたまらなく僕は嫌です。家族は何にも悪くないのにと辛くなります。
だからいつか自分を見てくれる人が現れて、この劣等感から解放されることを僕は願っていました。 でも結局、僕が好きになったり僕を応援するといってくれた人は、みんな弟を好きになります。
それから徐々に女の人が怖くなりました。打算で近づいてきて、人を人だと思っていない獣に見えて、姿を認識しただけで吐いてしまうようになりました。正直、女の人は男の顔しか見ていないと呪った日も数日のことではありません。
しかし、僕はデザイナーの仕事をこれからも続けていきたいし、みんなに僕のデザインを届けたいという夢を持っています。みんなの中には当然女の子たちもいます。
だから、これからも緋奈さんとやりとりさせていただければと思っております。(実は先日弟と出くわしまして、嫌なことを思い出し話さずにはいられなくなってしまいました。長文ごめんなさい……)